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移動年計と移動平均:その違いと使い方について

以前、移動平均について書いた記事がこちらです。

移動平均と移動年計

今回は、移動年計との違いについての考察です

1.移動年計

PQ(売上)やMQ(粗利総額)の12ヶ月分の合計額(1年間分の合計)を毎月ひと月ずづ移動させて計算します。

ですから常に過去1年間分のPQやMQが集計されるために、月々の変動や季節変動・季節特性等に影響されず純粋にデータの推移を見ることができます。

この推移(変化)とは、前年同月との差額ということになります。

また、PQとVQとFのデータさえ揃えれば毎月の「年次決算」が可能になります。

マイツールでは移動年計のコマンドはありませんが、MAVコマンドをちょっと工夫すれば一発で年計も出せます。

移動年計グラフは、一度上がり始めると3ヶ月またはそれ以上、上昇し続け、下がり始めると、3ヶ月またはそれ以上下がり続ける傾向(法則性)があります。

データの傾向を知るうえで、もっと知られてもいい分析手法です。

2.移動平均

上記の移動年計を12で割って、1ヶ月平均を算出したものが移動平均です。

一般に、管理会計は売上高(PQ)までなので移動年計で十分に用は足ります。
というか、そこまでしか出来ません。

戦略MQ会計にはQの概念が登場します。
P・V・Mまで出せるから移動平均の意味が出てきます。

もちろんPQ・VQ・MQ・F・Gを移動平均にしてもそれは意味を持ちます。(年計と同じことですから)

結論から云えば、移動平均のほうがランクが上の分析ができるといえます。

ただし、Qの対象の選定には注意が必要です。

Qの対象を何にするべきか?

Qをある程度、カテゴリー別に分類しないとPとVが意味のないデータになってしまいます。

3.マイツールでやってみよう。

MAVコマンドを使うときの原則は、4つあります。

その1)少なくても3年分(36ヶ月)のデータを用意する。

その理由としては、季節特性をならすためと長期的傾向(24ヶ月)と短期的傾向(12ヶ月)の両方を見るためです。

その2)まずTMで季節特性を確かめる。

具体的にはTMコマンドで横軸に年度別、縦軸に月別のデータを整理し、
それをGドン(6番の折れ線グラフに)します。

そうするとその企業や製品の季節特性が顕著に現れます。
これを確認した後に、MAVコマンドでそれを消去していきます。

その3)3ヶ月間続く傾向は、その後もしばらくは続く。 これは法則といっていいです。

その4)12ヶ月と24ヶ月のMAVを出して、ゴールデンクロスとデッドクロスを確認する。

とくにデットクロスの出現には、すぐに手を打つ必要があります。
5要素のうち何がデットクロスを引き起こしたのか?
どの要素を改善するべきなのか?

そのためには、PVQFの4要素別に利益Gに対する貢献度を時系列で分析することになります。(利益寄与差分析と言います)
そうすることで、どの要素がGの悪化に与したのか?がわかります。(犯人探し)

詳しくは次回のブログで取り上げます。

4.まとめ

移動年計と移動平均のもつ性質は同じです。
12ヶ月の総計とその1ヶ月平均ですから。

両方とも、その傾向を掴むのに優れた機能を発揮します。(時系列分析)
この2つは、分析の対象にするデータによって使い分けることになります。

移動年計はデータの総計(合計)ですから、PQやMQ、FやGに有効です。
そして移動平均は総計しては見えにくくなったり、意味がなくなる対象(単位)、
すなわちPやVやQ及び、m率、v率の分析に有効となります。

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〈初出日2022.0125〉