天野榮夫さんのコラムに「ゼロ戦とマイツール」というのがあります。(シアターMAVに掲載)
戦闘機とコンピューターとの対比が面白いので紹介します。
〈以下引用〉
「ひるがえって我々のマイツールである。 ゼロ戦についての堀越さんの
『人間の運動感覚と飛行機の操縦応答性とのマッチング』
『日本人の血の通った飛行機』
というコメントについて、文中の飛行機をパソコンに置き換えてみる。
『人間の感覚とパソコンの反応とのマッチング』
『日本人の血の通ったパソコン』
そしてマイツールの生みの親、長谷川郁祐さんはこう言いました。
「私はいい加減だから、いい加減なソフトを作りましたよ」
私は、マイツールにゼロ戦の面影、長谷川郁祐さんに堀越二郎さんの面影を見るのである。
〈引用終わり〉
ゼロ戦は正式には零式艦上戦闘機といい、昭和15年(皇紀2600年)に正式採用されたのが命名の由来です。
また堀越二郎氏はそのゼロ戦の主任設計者で、映画「風立ちぬ」の主人公のモデルとなったエンジニアです。
ゼロ戦の最大の特徴は、
操作性が抜群で、機体をパイロットの意のまま思うように操れることです。
そして性能も当時の戦闘機の中では最高水準のものでした。
文中の人間・日本人を「経営者」に、運動感覚を「経営感覚」に置き換えてみると
まるでマイツールのようだと思いませんか?
天野氏は太平洋戦争末期に学徒兵として召集され、ゼロ戦パイロットとして実際に操縦されたのだから説得力があります。
ただ残念なことに、マイツールは自家用車のようにはなりませんでした。
家電製品やiPhoneのように主婦でも扱える本当に汎用性を持った道具にまではならなかった。
車を運転できるようになるまでには訓練が必要ですが、マイツールもしかりです。
パイロットになるには適性が必要なように、マイツールの習得にもある程度の適性が必要なのも事実です。
適性がない人はかなりの努力を強いられることになりますが、殆どの人は使えるようになったときの「素晴らしい世界」をイメージすることができないので、その前に挫折して中断してしまうのです。
稀代の経営者・戦略家が経営者のために作った、経営者が使うソフトがせっかく手に入れることができるのに
残念でなりません。
テッド・ネルソンは名著「ホームコンピュータ革命」でコンピューターは万人の下僕となる。と予言しました。
また、西 順一郎先生もコンピューター(マイツール)は大衆に経営を解放する道具だと宣言しました。
「企業革命」という名の全員経営の武器(道具)だったわけです。
時代は下って、それはiPhoneという形で結実しましたが、それでホイホイ「金儲け」をするという形にはなりませんでした。
「経営と会計を大衆に解放する」西式企業革命には、まだまだ遠いのが現状です。
革命はMGで能力をつけないとできないし、またマイツールを使わないとその能力を活かせないからです。
そういう意味では「革命なお未だ成らず」です。
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〈初出日 2018.1004〉