数字が苦手だと思っている人(経営者)は、以下の4つのことを実行すれば数字アレルギー、会計アレルギーを克服できます。
これは過去40年以上にわたるMG研修で証明されている経験則だからです。
〈必勝その1〉「ゼロを書く・全部埋める・差額を書く」
先生やインストラクターの言う通りに「素直」に出来ますか?です。
素直とは仏教の「空」です。
ゼロと空欄は似ていますが違います。
ゼロは確認したという印で、もう一度チェックする必要はありませんが、空欄はまた見直さないといけません。
第一歩は、「ゼロを書いて、空欄は全部埋める」です。
差額を書くことで自分の失敗を認め、素直になれます。人間は自分の非はなかなか認めたくはありません。
しかし、それで前頭葉に空きができ、そこに新しい発見や気付きが入ってきます。
そうすると不思議なことに間違いがすぐに見つかるのです。
それで「ミス発見器」なのです。
「差額を書く」にはそうした意味があります。
〈必勝その2〉「四捨五入」
有効数字(桁数)の考え方(概念)です。
情報として意味をもつ数字は、どこまで桁数を表示すればよいのか?
その訓練がこれです。
例えば、同じ陸上競技のアスリートでもマラソンランナーと100mの短距離スプリンターとでは、その時間計測の桁数が違います。
マラソンは意味をもつ単位は秒までです(何分を切ることに意味があります)が、かたや100mではコンマ2桁で勝負が決まります。
MGでもMX会計表のSTRAC表の作成のとき、コスト構造のところだけ小数点以下第一位まで求めるのはなぜか?
あるいは利益感度分析でもP感度だけ、四捨五入しないのはなぜか?
これらはすべて有効数字の考え方が基本にあるからです。
〈必勝その3〉「減価償却費」
減価償却は4文字熟語ですね。つまり2つの単語から構成されています。
減価→資産の減少と償却→費用の増加です。
この減価償却の概念が理解できると、会計の「費用収益対応の原則」の理解が早まります。
ある一定期間における、収益をあげるためにかかった費用はいくらなのか?
費用がわからないとその差額の(粗)利益がわかりません。
仕入れにかかった費用や経費はわかりますが、その収益をあげるために使った設備(工場機械や車両運搬具などです)も費用として考えます。
その計算は使用年数によって按分されるのです。
ポイントは「その収益を上げるのに使った費用はいくらなのか?」ということです。
使ったぶんは費用として償却され、それと同じ金額が資産評価額から減価(減額)されます。
(機械や車両は見た目は変わりませんので、錯覚してしまうかも)
減価償却には3つの側面があります。
1)費用になる(償却)
2)資産が減る(減価)
3)フリーキャッシュ(返済原資)
借り入れで設備投資をするときは、この(3)返済原資の範囲内になるように銀行と返済期間を交渉するとよいでしょう。
ちなみに土地は減価償却できません。購入価格のままB/Sに記載され続けます。
土地を(借り入れで)購入するということは、額面価格の約1.7倍で買うことになることを考慮する必要があります。(実効税率40%として)
賃借料は経費になりますが、購入費は費用にはなりません。
〈必勝その4〉「会計恒等式」
必勝原則の最後は、会計恒等式の登場です。
1)前期繰越+当期インー当期アウト≡次期繰越
これは移行してみると次式になります。
2)当期インー当期アウト≡次期繰越ー前期繰越
左辺はフローの差額で右辺はストックの差額です。恒等式ですから、このふたつの差額はぜったいに一致します。
「違い棚」に象徴されるMX会計の原理・仕組みもこの会計恒等式から来ています。
会計はお風呂である(人事屋が書いた経理の本より)のイラストはその関係を見事に表現しています。
つまり経営とはフローとストックの両面から見るのです。
フローとはP/L(損益計算書)
ストックとはB/S(貸借対照表)
P/Lだけを見て経営しても不十分ですし、B/Sだけでもだめです。
この両者は不離一体の関係であって、それは会計恒等式からもよくわかるのです。
数字に強くなる4つのコツの習得は、この反復練習です。
食わず嫌いだったのを治すには訓練しかありません。 センスなどは無用です。
意味はあとから付いて来ます。
MGはひたすら訓練、訓練です。
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〈初出日2021.0707〉