~それは崖ではなく渚だった~
利益感度分析の講義でおなじみのBEP(損益分岐点)のはなしです
実は本当のBEPはいつも見慣れている、「みおちゃんの崖」ではなく
渚における潮の満ち引きのごとく、常に上下に変動するものだったのです
つまり会社の経営(活動)はいきなり崖から転落して赤字になるのでは無く
MQとFとのバランスによる連続性をもっているということです
BEPの変遷は以下のとおりです
1. S0(ゼロ)=F/(1-V/S) S0=F/m率
2. MQ=F
さらに西 順一郎先生の発明した企業方程式によって(要素法を取り入れることで)
新たに4つの分岐点が発見されていきます
① 損益分岐固定費 F0(Fゼロはいくら)
② 損益分岐個数・客数 Q0(Qゼロはいくつ)
③ 損益分岐変動費 V0(Vゼロはいくら)
④ 損益分岐価格 P0(Pゼロはいくら)
3. Fは常に変動します
経営の意思決定によって、Fは有機体のごとく膨らんだり縮んだりする(変動する)からです
ある注文を受注(生産)するかどうか?
その受注によるFの増減や変動費の増減に合わせてQ0(Qゼロ)は常に変動します
ゲームを見ればわかるように、人が退職したり、リスクに見舞われたり、あるいはチップの特急をしたりして
1手1手で状況は刻々と変化し、その都度Fは増減を繰り返します
「特急をする」
「追加でセールスを採用する」
この意志決定で、Fは上昇します(つまり海面はあがります)
しかしその後MQも増加するのでMQからFを引いた残りの面積(G)が増加します
この「Gの増加分がFの増加分を上回れば良い」ということが、グラフで(ビジュアルに)説明できます
いきなり崖から落ちて赤字になるのでは無く、MQとFの関係はつねに連続性を持って相関しているのですね
4. 手余りと手不足
ある注文を受注(生産)するかどうかの判断は企業にとって大きな問題です
特に手不足のとき(生産余力が無いとき)には外注するのかどうかが問題になります
たしかに外注することでFは↑しますが、増加するGの面積(金額)との兼ね合いで判断するべきです
増加分G>Fの増加分 ならば受注するべきです
(千住鎮雄著「経済性工学の基礎」より)
手余り状態の場合はMが1円でもあればこの受注は受けるべきです
(ただし、DCで原価計算をすることが条件になります)
〈初出日 2017.0309〉