今回は平均と標準偏差についての話です。
1.データ分析に使う代表値
データ分析する際にそのグループを端的に表現する値を「代表値」といいます。
すぐに思いつくのは平均値でしょう。
データの総和をその個数で割ったものが代表的な例です。
しかしそれを代表値とするときに注意が必要です。
OPQR分析やABC分析でも平均値は重要な指標となります。
しかし、これには思い違いが生じます。
なぜなら平均値と比較して、代表値は必ずしも一致しないからです。
平均値のデメリットは異常値にデータが振られることです。
少数の異常値があると、平均値がそのデータ群の実相から逸脱するケースがあるからです。
例えば体重が100kgの人と40kgの人が2人のグループの体重平均値は60kgですが、その体重の人はこの3人のグループにはひとりもいません。
2.そこで登場するのが、標準偏差です。
標準偏差とはデータのばらつきの程度・大きさを表す数値のことです。
なぜばらつきの大きさを表す数値を求めるのか?
算術平均における平均点は必ずしもデータの中心(代表値)に分布するとは限らないからです。
例えばテストで殆どの生徒が80点以上取れる問題(ケース1のとき)で、一部の生徒が極端に悪い点だと平均は60点です。
このテストでの70点の成績は、果たして良かったと言えるのでしょうか?
この逆のケース(ケース2のとき)、殆どが60点以下で、その平均が60点。 このテストの70点はよく頑張ったと云えます。
平均点の欠点を補うものが、標準偏差です。
偏差値は統計学から来ています。
統計学には、「正規分布」というものがあります。
例えば身長や体重の分布は必ず下図のようになります。 これが正規分布です。
MGの成績も適度な競争が発生すれば、自己資本のグラフは正規分布になります。
皆が良い成績のときの自己資本300円と、厳しい環境のときの300円のそれとでは、評価は違うはずです。
そんな時に役に立つのが「偏差値」です。
偏差値とは、標準偏差を使って自分のポジションを50点を真ん中にして数値化したものです。
3.データのもつ特性を知って、それに最適な手法を使い、ポジションを知って、どこに向かって手を打つのか?を知る。
その指標には
1) 平均値(算術平均・データの総和÷データ数)
2) 中央値(最大値と最小値との中間値)
3) 最頻値(データ数のもっとも多い値)
4) そして標準偏差を使った偏差値があります。
どの指標の数値が一番、この状況に合っているのか? それを選択する能力が「情報リテラシー」です。
日々、マイツールでデータを分析することでそれは培われます。
4.それでは、MGで偏差値を算出するとどうなるでしょう?
ちょっと大変そうですが、ポケコンやマイツールに予めプログラムを組んでおけば、簡単に算出できます。
ビジネスパワー分析でも、データをもとに評価する項目がありますが、
偏差値の概念を使えば、項目が違ってもデータはあるのですから科学的・客観的に評価することができます。
例えば計数力ならば決算の順位ではなく、合格までにかかった時間の平均と標準偏差を求めることが正しい評価を出せると言えます。
MG偏差値の出し方
1)自己資本額の平均を出す
2)平均から自己資本額の差額(偏差)を出す
3)偏差の自乗を出す(平方数)
4)平方数の平均を出す(分散)
5)分散の平均を出し、その平方根を出して標準偏差を出す
6)偏差値の算出 (自己資本額-平均自己資本額)÷標準偏差×10+50
※偏差値の利用価値があるのは、その集団の数値分布が正規分布に近い状態のときです。
偏差値70以上 SS 上位 2%
偏差値65~69 S 上位 7%
偏差値60~64 A 上位16%
偏差値55~59 B 上位31%
偏差値50~54 C 上位50%
偏差値40~49 D 上位84%
偏差値40未満 DD 86%以下
MG研修の案内はこちらです。
〈初出日 2018.1017〉