なぜ顧客はあの店で買うのか?

企業が創造力を発揮し、新しい需要を喚起するのには何が必要とされているか。

そのカギを握るのが「真・善・美」である。

数あるライバル店の中からあの店が選ばれるのは、「真・善・美」の3要素とP(価格)とのバランスが優れているからである。

【真善美】しんぜんび
人間の理想である、真と善と美。それぞれ、学問・道徳・芸術の追求目標といえる3つの大きな価値概念。
(大辞林より)

顧客が商品・サービスを選ぶファクターは以下のものがある。
1.品質・機能性・信頼性・利便性(真の部分)
2.関係性や社会的責任。 企業理念やビジョンへの共感。(善の部分)
3.デザイン性 感性。(美の部分)

この3つの要素の合計と価格とのバランスこそが、顧客が商品を選択するポイントになっている。

もう少し詳しく見ると

1.真とは機能や性能が優っている。信頼ができる。品質が勝っている。
材質も環境に配慮したものを使っている。  良いものをリーズナブルな価格で提供する姿勢を持っている。

2.善とはお客が安心し、快適に思うこと。 気配りや目配りである。
顧客に自分のことを(よく)知ってもらっているか。
他人や自分を気持ちよくさせるあいさつはできているか。
人や環境を大切にしているか。
企業理念は浸透しているか。

3.美とは感性に訴えかけることを言い、その人にとって格好が良いのである。
美しい言葉遣いや振る舞いもそうである。
様式美や職人技の美しさを言う「用の美」もそうである。
整理整頓などの環境整備ができている。

このような(主観的な要因の多い)観点から顧客から選ばれる理由を
あえて数値化、指標化したものが「C.S.I.値」である。

名付けて「繁盛店公式」(CSI公式)である。

〈CSI公式〉Customers Supported Indexes(顧客支持指数)

CSI値は以下の式で算出する。

CSI=(真+善+美)÷P(価格)

1.企業や店舗はMGのビジネスパワー分析よろしく、10項目ある評価を自己採点していく。
同時に競合する他社やライバル店のものも作成して、それぞれを数値化する。(50点満点)

2.10項目の合計点(50点満点)をその商品やサービスのPで割ってCSI値を出す。

3.この値が大きいほど、顧客から選ばれることになる。

企業はこの指標を高める努力や方策を講じれば良いのである。

また、この数式の分母はPrice(価格)であるから、他社(ライバル店)と比べて自社の分子(真善美のポイント総計)が優れているのなら、Pアップも可能なのである。

戦後、made in Japanが世界市場を席巻した最大の要因はこの「真」の部分の優位性にあった。
現在、この真の部分での差別化は困難になっている。

この部分はあたりまえ、出来て当然の領域になってきた。 機能や性能が優れているだけでは、もう選ばれないのである。

信頼性(信用)も同様である。 法令に遵守できない企業の製品、データの偽造や改ざんも同じである。
またたく間に市場から駆逐、追放されてしまう。

まさに差別化のフィールドは、「真」左脳の領域から「善と美」右脳の部分に移行したのである。

MGの戦略チップにそれぞれのキャクターがあるのは、ゲームにコク味をつけるためであって、
その実体は「顧客から選ばれる理由」をチップの枚数で表現しているのである。

親の「2円引き」も、同じ物なら知り合いから買ったり、馴染みの店に足が向くものである。
その行為が「2円引き」という競争力としてゲームに取り入れられているのである。

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〈初出日 2019.0220〉